自転車で有利な姿勢は横隔膜が動かせる背筋を伸ばした呼吸姿勢

自転車で運動するには姿勢とフォームを正しく
筋肉を使うには、正しいフォームで乗らなくてはいけません。一見つらそうな姿勢ですが、実は最もラクな姿勢。早く慣れて運動効果を高めましよう。

高さが重要
自転車で運動効果を上げるには、サドルの高さが重要です。ペダルをサドルから真直ぐ下した位置に置き、サドルに座って、膝をピンと伸ばして、ペダルにかかとを乗せます。

かかとにぴったりペダルがつく高さが正しいサドルの高さです。おそらく、これまで乗っていたより高いと感じるでしょうが、スポーツとして自転車に乗るにはこの高さが必要です。

もうひとつ大切なことは、ペダルを踏む位置に、親指の下のふっくらしたところ、拇指丘がくるようにします。

ペダルの幅は約6~7cmあり、この部分にゴムのすべり止めがあって真ん中があいています。拇指丘を中心に前後6~7cmの幅でペダルを踏むことになります。土踏まずで踏まないように気をつけてください。運動効果が上がりません。


基本のフォームは軽い前傾姿勢
スポーツ用自転車のライディングフォームは、肩を張らずに背中をやや丸め、軽く前傾し、腰に重心を乗せる姿勢です。目は真直ぐ前を見ます。ひじは軽く曲げてハンドルは薬指と小指で握ります。

こうすることで、腹筋・背筋で上半身が軽く支えられます。そのためにも、重心が拇指丘に乗っていないといけません。ただし、シティサイクル(ママチャリ)などの場合は、上半身を真直ぐに立てます。

自転車をスポーツだと認識したとき、移動手段として自転車に乗っていたときとは違う筋肉が働くようになります。重心を押さえ、重心を分散させることで体全体の運動にもつながり、無駄な動きが少なくなり、疲労が軽減されます。


スキーの姿勢を思い出して
前傾姿勢といってもピンとこない場合は、スキーが好きな人なら、直滑降からバラレルに入る瞬間を意識して、そのフォームを作ってください。腹筋・背筋、脚の位置をそのままで、手だけを前に出してハンドルの位置にずらすと、自転車のフォームになります。

また、バレーボールやテニスで、相手がサーブをうってくる場合に相対するときのスタイルをしてみてください。まず足を広げてかまえます。重心の位置はそのまま、足を少し閉じて、手を前に広げてみてください。

腹筋と背筋に体重が軽くのって上体を支えている。足の裏に体重がのっている。これがスポーツ用自転車のフォームです。

長時間走ったあと、太股が痛くなるのはサドルが低すぎ、ふくらはぎが痛くなるのはサドルが高すぎるのが原因です。サドルの高さを調節して下さい。


横隔膜をきちんと動かせるようにすることが大切
肺そのものは動かない
では、換気量を稼ぐには?
まず、肺は自分では動けない臓器だということを理解しておかなければなりません。心臓は筋肉でできているので自分で動いてくれますが、肺はスポンジみたいなもの。

肺が自分で大きくなったり小さくなったりしているのではなく、横隔膜などのまわりの筋肉が肺を膨らませたり縮めたりしているんです。

そして、換気に一番大きく影響するのは肺の下側です。重力の影響で肺の下側が最も血流量が多くなりますし、呼吸において一番大きく働く筋肉である横隔膜は肺の下にあるので、肺の下側が最も伸縮しやすいからです。だから換気量を稼ぐには横隔膜がちゃんと動く状態にすることが必要です。
横隔膜が自由に上下できないと、換気量が稼げません。


猫背は不利
換気量を稼ぐには横隔膜をしっかりと動かすことが必要。では、その具体的な方法は?

姿勢が大きく影響します。横隔膜とは、緩んでいると上に上がって、収縮して張ると下に下がります。吐くときには横隔膜を緩めて上に上げて肺を縮め、吸うときは横隔膜を収縮させてピンと張って下に下げて肺を膨らませるわけです。

呼吸にとって有利な姿勢とは、具体的には背筋を伸ばすこと。背筋を伸ばすと胸郭が前後に狭くなるので、横隔膜が張ったときと緩んだときの差が大きくなります。

猫背だと、胸郭が前後に広くなるため、横隔膜が引っ張られてしまい、張ったときと緩んだときの差が出にくくなってしまいます。また、猫背だと腹圧がかかってしまうので、目いっぱい息を吸うこともしにくくなります。前傾姿勢だと横隔膜は動きにくい。

スポーツバイク、とくにロードバイク特有の前傾フォームは、呼吸にとってはいい姿勢ではない可能性があるのだ。



重要なのは呼吸だけではない
呼吸にとって姿勢が重要だということは分かった。しかし話はそんなにシンプルではない。

自転車は上半身が固定されていて呼吸器がプレないため、運動としては呼吸に適しているんですが、一方でそのフォームは呼吸に不利だといえます。しかし難しいのは、自転車の場合は空気抵抗やペダリング効率が絡んでくること。

換気量が稼げるからといって背筋を伸ばした状態で乗ると、空気抵抗が増えてしまいます。それは呼吸にとってはいい姿勢かもしれないけど、自転車にとっていい姿勢とはいえません。

自転車のフォームには、さまざまなファクターが絡んでいる。呼吸のしやすさ、空気抵抗、そしてパワーの出しやすさ。

おそらくプロ選手はその3点がうまくバランスするポイントを見つけて走っているのでしょう。

さらに難しいのは、そのバランス点はスピード域、強度、風向き、勾配によって変わってしまうことである。強度が上がれば呼吸の優先度が高くなる。高速や向かい風になれば空気抵抗を減らす必要が出てくる。坂では強度は上がるが速度は落ちる。呼吸のしやすさを第一に考えるのか。とにかくパワーを出せるフォームで走るのか。

空気抵抗削減に全てをささげるのか。答えは刻々と変わる。その3点をいかにバランスさせるか。そこを意識することがブレークスルーにつながる。



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